
筆者のプライベートで使うメールアドレスに、「【重要通知】 お支払い期限を経過した保険料の差押手続き移行」というタイトルのメールが届きました。最近ニュースで見かける詐欺メールです。
未納の年金をPayPayで支払うようにという指定だったので100%詐欺です。結論として支払う必要がないため、削除するか迷惑メールフォルダに振り分けるといいでしょう。
せっかくなので日本年金機構をかたる詐欺メールについて本記事では詳しく深堀りしていきます。
年金をPayPayで払うことはできるのか

まず年金はPayPayで支払い可能です。納付書のバーコードをPayPayアプリで読み取れば支払いできます。
詐欺メールではPayPayを指定してきます。本当に未納であればまず納付書が届くので、PayPayをピンポイントで指定する時点で詐欺確定です。
日本年金機構をかたる詐欺メールが届いたらどうすればいい?

無視して削除するか迷惑メールフォルダへ振り分ければOKです。削除するだけなら再度メールが送られる可能性があるため、迷惑メールフォルダへの振り分けを推奨します。GmailやOutlookであれば自動的に迷惑メールとして振り分けられる可能性が高いです。もしもすり抜けて通常の受信フォルダに入ってきてしまったら迷惑メールフォルダに振り分けしなおしてください。
実際のメールの内容

今回受信したメールのタイトルは「【重要通知】 お支払い期限を経過した保険料の差押手続き移行」でした。差出人は「日本年金機構」です。一見すると本当に日本年金機構から届いたように思えますが、名前自体は送信元の環境からいくらでも偽装できます。メールアドレスを見ると「◯◯@makingmyabode.com」で、さらに調べると海外ドメインだったため詐欺であることに間違いありません。
メールで届いているのになぜか「書留郵便│至急開封してください」と謎の記載があります。本文を見ても、いつの年金が納付されていないか記載がないため、払う必要がない詐欺メールであることはあきらかです。
メールのタイトルについてはいろいろなパターンがあるようで、以下のようなタイトルが該当します。
■詐欺確定のメールタイトル
- 【重要】国民年金保険料の未納に関する最終確認通知
- 【重要】差押予告通知書(最終通知)- 日本年金機構
- 【日本年金】 差押執行前の最終確認および緊急納付のご案内
- 【日本年金】 お支払い期限を経過した保険料の差押手続き移行
- 【日本年金】 国民年金保険料の未納に伴う財産差押えの執行予告
- 【日本年金】 差押執行前の最終確認および緊急納付のご案内
- 【日本年金機構】期限内納付が確認できない場合の法的措置
- 【日本年金機構】督促状の送付および執行手続きに関するご連絡
- 【日本年金機構】令和8年5月分 国民年金保険料のお支払いについて
- 【至急】 国民年金保険料の未納に伴う財産差押えの執行予告

メールを下へスクロールすると、「PayPay│差押えを回避し今すぐ納付」というボタンが現れます。そもそも日本年金機構の連中が「差押えを回避し~」のようなユーモアある表現をできるとは到底思えないので、このメールは間違いなく詐欺です。
また【重要:デジタル特例緊急納付】とありますが、日本年金機構のようなアナログな組織が「デジタル特例緊急納付」といった処置をできるとも到底思えません。
このあとボタンをクリックしますが、PayPayアプリをスマホにインストールしている人はタップしないでください。
年金詐欺メールのボタンを押すとどうなるか

まずPCブラウザでアクセスしてみたところ、アクセスできませんでした。「DNS_PROBE_FINISHED_NXDOMAIN」というエラーです。名前の解決に失敗とも呼ばれますが、一般的に「名前の解決とは?」と疑問に思うはずです。
DNS_PROBE_FINISHED_NXDOMAINは、数字の羅列をわかりやすい英語表記や日本語表記のドメインに変換できなかったと思ってもらえればOKです。たとえば郵便番号から住所(都道府県、市区町村、町域)が見つけられないのと同じです。
名前が解決できなかった原因は、詐欺サイトのサーバー側でサービスが停止していたり、サーバーの構造がおかしいことになっていたりと多岐にわたります。詐欺目的のドメインなら止まってくれていることにこしたことはありません。

PCでアクセスできなかったので、PayPayアプリをインストールしているスマホでアクセスしてみました。PayPayアプリは登録しているだけで、銀行やカードと紐づいていないアカウントのため、仮に支払い画面のようなものが表示されても支払いできません。結果、PCと同じ「このサイトにアクセスできません」と表示されました。
リンク先の正体について
このままだと「サイトにアクセスできませんでした」で終わってしまうため、せっかくなので詐欺メールの詐欺リンクについて解説します。
ボタンをクリックしたところ、別のWebサイトに自動で飛ばすリダイレクトという仕組みが使われています。リダイレクトは、古いURLにアクセスしたサイト訪問者を新しいURLに飛ばすなどがよく使われるケースです。
当サイトでもサイトのリニューアルに伴い、Googleに登録されている古いURLが新しいURLに登録し直しされるまでの期間、Google経由で古いURLにアクセスした訪問者に対して新しいURLへのリダイレクトを使っていました。
リダイレクト自体はいろいろな理由で使われますが、詐欺メールだとボタンのリンク先とリダイレクト先の2つのURLが存在することになります。
まずボタンを押したときのURLを「サイトA」とし、ドメイン調べてみました。詳細な登録内容は伏せますが、サイトAはドメインの登録日が2025年と新しく、海外の詐欺でよく使われるレジストラが選択されていました。登録者情報は非公開となっているため、ドメイン情報(WHOIS情報)からはこれ以上確認できません。
続いてリダイレクト先「サイトB」とし、ドメインを調べてみました。ドメインの登録日は2024年で有効期限が2026年6月のようで、更新しなけばれサイトBのドメインは解放されてしまいそうです(他の人が取得できる状況のこと)。引き続きサイトBを確認したところ、なりすましサイト(フィッシング詐欺など)でよく使われる海外のレジストラが選択されていました。サイトAと同様に、登録者情報は非公開となっているため、ドメイン情報(WHOIS情報)からはこれ以上確認できません。
実際に年金(国民年金)を滞納するとメールが届くのか
結論、年金を滞納してもメールは届きません。メールが届いた時点で詐欺の可能性を疑ってください。
実際に年金を滞納すると、まず電話で連絡されます。電話番号は0800-600-0600ですが、他にも専用のフリーダイヤルがあるようです。この電話番号は日本年金機構が業務委託している株式会社バックスグループからで、未納分の国民年金があるときにかかってきます。ややこしいポイントが「0800」はフリーダイヤルで、「080」が携帯番号という点です。
電話連絡を無視すると年金機構から納付書が同封された督促状や催促状が郵便で届きます。それでも支払いをしないと本当に財産の差し押さえということもありえます。
詐欺メールへの対応は必要ありませんが、日本年金機構とバックスグループから催促があった場合は対応が必要です。どちらの連中も面倒くさいことに変わりはないです。
年金詐欺メールで実際に払うとどうなるのか
今回はリンクを踏んでも詐欺サイトが表示されない結果となりましたが、実際に支払い先などが表示されてPayPayで支払うとどうなるかについて解説します。

PayPayのヘルプページによると、詐欺などの疑いがある取引において報告はできるものの補償制度の対象外とされています。そのため、年金メールのリンクから送金してしまった場合、補償されない可能性が高いです。また補償の有無問わず、詐欺であることがわかった時点で警察への被害届の提出も必要です。
ヘルプページの文面から推測すると、ユーザーの意思で送金したかどうかが補償の判断基準になると考えられます。いずれにせよ、年金機構がPayPayで送るよう指定することはまずありえないので、メールが届いた場合は対応せず警察などに相談するようにしてください。
